自伝云々

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愚痴備忘 残り7日

来週金曜日で4年弱勤めた会社を辞める、会社を辞めるのは2度目だ。前のところはまあ全然待遇なども良くなかったし、自分自身、事務職が絶望的に向いてなかったため、退職日、帰路についたときは辞められたことが嬉しくて嬉しくて少し泣いた。

今の仕事は結構楽しかった。わたしは無能で頭が悪いから、誰でもできる仕事がいいと思って新卒時は事務職を選んだのだが、事務職は全然、全くもって誰でもできる仕事じゃなかった。適性があるのはむしろわたしとは真逆の、話が上手で人見知りしない、細かいところまで気を配って働ける、大人がよく言う「当たり前」のことがちゃんとできる人だ。頭が悪い、というのは勉強ができないっていう意味もあるけど、何回も同じミスをするとか、説明を聞いて理解したつもりが全然分かってなかったり、分かってないのに分かったと言ってしまったり、という鈍臭さを指摘する言葉でもあって、後者の意味の頭の悪い人に最も相性が悪いのが事務職だと思う。不運なことにわたしは後者でもあったから、くだらない誤字で死ぬほど怒られた。余計な反骨心からか、わたしはわたしでくだらないことで怒られていると思って怒っていた。毎日毎日退屈で死にそうだった。なんでもいいからここから出たいと思って、片っ端から送った履歴書が引っかかったのが今の会社だ。

転職してからの1年半くらいは正直何をやればいいのか、他の人が何をやっているのか全く分からなかった。事務職時代にやっていたことは何も役に立たなかった。多少は勉強したけど、多少でどうにかなる仕事ではなかった。(多少でも続けておけばよかったのにとは思うが、できないことはいつもすぐに諦めてしまう)

当時、部署にはわたしを含め3人いたが、上司と先輩はともに超有能で、勉強もめちゃくちゃできるテキパキした頭の良い人たちで、追いつこうという努力を全然しなかったため、最初から最後までずっと、違う次元にいる人たちだった。本当に尊敬していた。馬鹿なわたしに色々と教えてくれたことに今でも恩を感じてる。

そんな尊敬できる2人に仕事を丸投げしていたわたしだったが、あるとき、2人が辞めて部署を1人で切り盛りしなきゃならん、という事態になった。正気?と思ったが、わたしは無能だから、部内会議中に先輩が辞めると言ったときも、上司が辞めると電話をかけてきたときも、「分かりました!」と言った。残念です、お世話になりました、ありがとうございました、お元気で。定型文しか話せない、哀れな無能だ。

そんなこんなで始まった1人部署生活はまあまあ過酷だった。そのころには多少仕事にも慣れていて、通常業務はそれなりにこなせるようになっていた。というと若干語弊があり、全部上司や先輩が言っていたことやメールに書いていることをベースに自分の考えっぽく言い直していただけだ。これぐらいの時期に似たような話があったな、ということを覚えていて、それを探り当ててパクっていただけで、自分の頭では何も考えてないし知識も増えたわけじゃない。仕事自体に慣れたのではなくて、在籍期間が長くなって引用できるものが増えただけなのだった、長くもないが。

当時一番辛かったのは部長職会議への出席だった。上長不在のため、とりあえず新しい人が入るまでは出てくれるか?と言われ、かなり渋ったけど出るはめになった。色々な部署の部長職が各々席について、毎週の業務報告を社長に行う。わたしが発言するとき、小娘が小さい声でなんか言うとるが全然聞こえん、という空気を感じていつも吐きそうだった。みんなわたしが無能で哀れということには気づいていて、居た堪れなかった。

他にも、裁判になりそうだ!とか、本当に勘弁して、みたいなトラブルが何度も起こったし、誰にも相談できなくて、自分の調べたことや出した答えが正しいのか分からなくて、でもそれを確認する人もいなくて、そのとき初めてここを辞めたいと思った。(他の人に聞けばよかったことはたくさんあるが、質問して分かってないのがバレたり邪魔と思われたりするのが怖くて1人で悩んでしまっていた、哀れポイント追加。)先輩と、あと他部署の人でお世話になった人が辞めることになった理由に納得がいっておらず、若干会社に不信感を抱えていたのも理由の一つかもしれない。

それから半年ほど経って、ようやく新しい人が入った。入社後の研修期間が終わるとその人が上司になった。

性格が良い人ではなかったが、怒鳴られることもなかった。自分のミスに甘く、人のミスをいちいち指摘する人だったし、事務作業がとにかく嫌いでいちいち押し付けてくるし、自分がやらなくて済む仕事には過剰なほど手間をかけさせようとしてきた。嫌いだが、上司ってそういうものかもなとも思うし、わたしはわたしでダラダラしているので、まあお互い様なんだろう。ものすごくよく喋りかけてくるのが鬱陶しくて邪険にしてしまうことが多々あったが、我慢しなきゃいけないことなんだよな社会人として、と反省もしている。とはいえ、この人の存在は退職を選ぶ理由のひとつにはなった。頭では、こんな人どこにでもいる普通の上司だ、と思おうとするけども、どうしても前の上司や先輩、お世話になった人たちと比べてしまうのだった。会社の中でこの人を嫌っているのはきっとわたしだけだ。

引っ越しを伴う結婚が決まり、退職予定日の3ヶ月前に辞意を伝えた。伝えた瞬間は特に引き止められなかったが、上司から人事部長に話がいった後、わざわざ呼び出されて「支社に転勤しないか?」と言われた。今時リモートなのだし、別にそれで働き続ければ問題なかろう、ということだったが、すげーやだな、とそのときは思った。それを考えなかったわけでもないが、わたしが所属している部署は本社にしかなく、結局次の人が入るまでの繋ぎにしかならないし、この人と2人で働き続けるのは嫌だし、本社にいる人のことは分かってきてみんな好きだけど、支社はどうか分からないし、それだったら新しいところに行きたい、というようなことを思っていた。人事部長には、1人部署になったとき全然採用活動を頑張ってくれなかった、という恨みもあり、前述の、会社への不信感もあった。でも、一番大きな理由は、仕事は楽しいものもあったけど、自分の力量を超えているものが多い、と感じていたことだろうと思う。この仕事を一生続けていく自信がなかった。全部曖昧だなと思う、辞める理由まで無能っぽくて呆れる。それでもあのときは本当に辞めたかった、でもこれで良かったのか、次の仕事は続けられるのか、そもそも見つけられるのか、全然分からない。

今の仕事に就かなければ結婚することもなかっただろうし、働くことや社会への解像度が極端に低いままだっただろう。今の仕事に就いたことを後悔はしないし、クビにせずに雇い続けてもらった恩も、思い出もあり、後ろ髪を引かれる。

与えてもらった転勤という選択肢を蹴って現職を辞めることにした理由は、これまでにも何度も聞かれたし転職活動を進めればさらに聞かれる回数は増えるだろうけども、結局自分が怠惰で向上心がなくて、これ以上この仕事をやり続けられないと思い逃げただけなのだということを、説明して幻滅されることを恐れる。